公開日 2019年2月7日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- その他
- 名称
- 花炭(はなすみ)
- 所在
- 臼杵市深田
- 備考
- 昭和55年10月調べ
- 説明
- 炭という言葉には、どことなく私達の郷愁を誘うような軽いひびきが感じられます。近頃のように、ほとんど炭を使うことがなくなった生活の中では、その香りや暖かさがことさら深く思い起こされます。
ひとことで炭といっても様々ですが、市内には花炭と呼ばれる珍しい炭が残されています。これはその昔、炭焼き小五郎(後の真名野長者)が焼いたと伝えられる炭の一種で、小さな俵のまま焼かれたものやススキの穂を焼いたものなどがあります。
現在、これらの花炭は、長者の後裔と称する草刈家の家伝としてまた深田に所在する満月寺の寺宝として伝えられています。
「真名野長者由来記」によるとこの花炭について「草刈家血統に限り外に類なき花炭を焼出す」としるされており、花炭を焼く技術が草刈家に秘伝として代々伝わってきたものと思われます。また、この花炭はある時期広く世間に宣伝されたらしく、これを物語る宣伝史料が愛媛県立松山図書館に保存されています。
この宣伝文は「花炭乃由来」と大見出しをつけた木版刷りのもので、文中、真名野長者の伝説を引用し、いかにこの花炭が貴重かつ由緒あるものであるかということをせつせつとうたったものです。このような木版刷りの宣伝文を作り配っていたということは、深田の里である時期かなり盛んに炭を焼いていたことをうかがわせます。
花炭という言葉のもつ美しさと長者伝説とが絡み合い、ロマンチックな花炭の世界へと聞く人をいざなってくれるようです。