公開日 2019年2月7日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 佐志生・下ノ江地域
- 名称
- 清水井戸(そうずいど)
- 所在
- 臼杵市下ノ江
- 備考
- 昭和55年7月調べ
- 説明
- 下ノ江方面には、昔から地域の人々に親しまれ、利用されてきた井戸があります。
これらの井戸の水は、臼杵の三大清水井戸に数え上げられていたほどで、一に臼杵の平清水、二に大野の大清水、三に徳尾の清水井戸と呼ばれ、豊富な水量とその清らかさは、使う人々にとって一種の清涼剤となっていたと思われます。
下ノ江地区に今も残っている二つの清水井戸のうち大清水井戸は、下ノ江小学校から日豊本線の踏切をわたり、北へ200mばかり行った字大清水地区に、清水井戸は、中村地区公民館から北西へ60mほど行った字徳尾地区にあります。二つの井戸とも、どんなかんばつに際しても、枯れることはなかったといわれるだけに、今でも溢れんばかりの清水が湧き出ています。
井戸は、人々の生活と直接深いかかわりを持っていただけに、井戸にまつわる物語や言い伝えも多く残っています。
とくに大清水の井戸水(地元では卵水とも呼んでいます)は、イボをとるのに効くといわれ、この井戸水と上手の台地にある薬師堂境内の土とを練り、イボにつけるとコロリと落ちる霊験があるとの言い伝えもあります。
しかし、今日のように各家庭に上水道が完備され、井戸の利用が減るに従い、このような話も自然に人々の記憶から消えてゆくものと思われます。
井戸は、人々にとって自然の恵みを与えるだけでなく、情報交換の場、あるいは社交の場として地域の連帯感を培う役割を果たしていました。
たそがれ時、井戸で水を使う人々の喧騒と語らいの姿も少なくなった昨今、時の流れとはいえ私たちの周りから一つ、また一つと井戸端の風物詩が消えてゆくことに一抹の寂しさを感じます。