公開日 2019年2月7日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 海辺地域
- 名称
- 芝尾の椎の木(しばおのしいのき)
- 所在
- 臼杵市諏訪
- 備考
- 昭和54年9月調べ
- 説明
- 芝尾の集落から山手へ500mばかり入ったところに、古くから地区の人たちによって大切に守られている椎の木があります。
これが芝尾の椎の木と呼ばれている御神木です。幹はすでに枯れてなくなっているため、往時の姿をしのぶべくもありませんが、現在生えているひこばえ(切った根や下部から生え出たもの)のものから想像すると、幹の太さは優に2m以上あった大木かと思われます。
芝尾地区には、昔からこの御神木に関しての決まりがあり、今も固く守られています。そのきまりというのは、御神木から落ちた枯れ枝を平素は誰一人として自分の家に持ち帰って焚きつけにしないということです。しかし、毎年正月十六日に行われる「山の神」のお祭りの日に限り、神へのお供え物をつくるために枯れ枝を焚くことが許されています。この祭礼ではその年の祭り当番になった地区の二件の家が、御洗米とキンピラを用意して、参拝者にお神酒とともに出す習慣になっています。
この椎の木には、こうした民俗行事のほか、三嶋神社の草創にまつわる伝説もあり、樹齢とともに歴史性をも秘めた樹木となっています。
三嶋神社の社伝によると、徳治二年(1307)伊予の国の越智通忠が大三島から御分霊を奉じて芝尾の「山の神」と呼ばれる谷の奥に御着船され、ここに生えていた椎の木下に仮座を設け、数年間お祭りしたが、神の御託宣によって、現在の神社地に御座所を設け、移ったとされています。
古い歴史と伝統によって支えられてきた地域の民俗行事が、今日各地で失われつつありますが、このような行事を守り、受け継いでいくことが地域文化の発展につながるものと思います。