公開日 2019年2月6日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 下北地域
- 名称
- 古鏡(こかがみ)
- 所在
- 臼杵市稲田
- 備考
- 昭和56年1月調べ
- 説明
- 鏡といえば「姿・形をうつし見るもの」と当たり前に考えられている現代では、鏡に映し出される自分の姿を見て、別段不思議とも驚きとも感じないと思います。
しかし、原始社会、特に今からおよそ千七百年前から千四百年前の古墳時代においては、なめらかな表面をした丸い金属板から発せられる妖しい光やその金属板にうつし出される自分の姿を発見した時、当時の人々はいったいどのような思いをもって鏡をながめたのでしょうか。さぞ、驚きと畏敬の念を持ってその金属板に接したことでしょう。
自分の姿を見るといえば水面ぐらいであったこの時代に、水面以外で姿・形を映し出すことができるものに接した人々の驚きは容易に想像がつきます。鏡といっても今日のようなガラス製ではなく銅あるいは白銅製の物で数量も限られており、一部の豪族しか持つことのできなかった貴重なものです。
鏡には中国大陸から直接、あるいは朝鮮半島を経由して持ち込まれた鏡(舶載鏡)と舶載された鏡を模索した鏡(ほう製鏡)とがあります。これらの鏡は「姿見」としてではなく、鏡の持つ神秘性から祭儀の呪具として使われたものです。鏡が「姿見」の道具として使われだすのは奈良時代以降です。
市内には、古墳時代の鏡が三面ありました。一つは、下山古墳から出土したほう製の三角縁神獣鏡(現在所在不明)ほかの二面は臼塚古墳から出土した舶載の位至三公鏡と獣帯鏡です。このような鏡の名称は、いずれも背面にある文様と構図によってつけられています。
※ 臼塚古墳出土の鏡二面は、昭和53年4月8日、市の有形文化財に指定されました。(H14.10月加筆修正)