公開日 2019年2月6日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 上北地域
- 名称
- 香堂の弁天様(こうどうのべんてんさま)
- 所在
- 臼杵市香堂
- 備考
- 昭和58年12月調べ
- 説明
- 一般的に弁財天といえば、琵琶を弾き、音楽・財福・知恵更に水をつかさどる女神として広く知られ、海や河川、沼など水辺に祀られることが多いのですが、香堂にある弁財天は、標高八十メートルばかりもある山の上に位置し、地元の人々から瀬戸石の弁天様と呼ばれて大切に祀られています。県道大南線の香堂バス停から南へ入り込んだ谷間の道を約三百メートルばかり進み、そこから更に九十九折の山道を百二十メートルほど登った場所にあります。渓流と山の木々が織り成す美しさとここからの眺めの素晴らしさは、まさに自然の極地と言えます。
この地にどういう理由から弁財天が祀られたのかはっきりしませんが、水の神である弁財天は、水源である山にあっては雨雲を呼び、穀物の生育に欠かせない恵みの雨を降らせるという信仰から穀倉地帯を見渡せる山の上に農業神として祀られたものと思われます。また、このあたりの山は深く、谷は九十九もあり、ヘビがたくさん住んでいるといわれ、古くから山に入る時は、弁天様に頭を下げてはいればヘビにかまれないという言い伝えが地元にあります。これなどは、水をつかさどる神、あるいは野ねずみなどを退治する農業神としてのヘビというものが、弁天様信仰とどこかで一つに結びついた信仰の一形態と見ることができるかもしれません。香堂の弁天様は、浮き彫り手法によって彫られた高さ三十センチほどの座像で、手には宝珠や琵琶、宝剣などを持ち、立派な流れ造りの石殿に安置されています。静かで絶景の山上にたたずみ、ふくよかな弁天様に手を合わせるときほのぼのとした仏のありがたさが伝わってくるようです。
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