公開日 2019年2月6日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 中臼杵・南津留地域
- 名称
- 王座の山王様(おうざのさんのうさま)
- 所在
- 臼杵市王座
- 備考
- 昭和58年11月調べ
- 説明
- 日本では昔から神様と動物との結びつきが考えられ、山王社(あるいは、日枝社、日吉社とも称す)と猿、八幡社と鳩、稲荷社と狐、それぞれの動物が神の化身、あるいはその「使い」であると信じられ、人々に厚く保護されてきました。王座地区には、猿の霊を祀った「山王様」と呼ばれる、珍しい供養塔があります。地区の北西部位置する集会所の庭の片隅にひっそりと祭られているもので、一見すると何の変哲も無い高さ70cmほどの凝灰岩の割石程度にしか見えませんが、その正面には「奉請日吉山王大権現神祇」と刻まれ、細い注連縄が飾られています。地元の言い伝えによると、「その昔、この村に王座五郎左衛門という狩りの上手な者が住んでいた。ある時、狩りに出たまま身重の猿を射殺してしまった。その事が祟ってか、それ以後、村では男の子が授からず、又生まれても育たなかった。そこで猿の霊を慰めるためにこの供養塔を造り供養したところ、祟りがとけた」と伝えられています。
昔から猿は山王社の神の使いとして知られ、神の使いの猿であるから真猿であり、これはマサルと読め、マサルは「勝る」「魔去る」に通じることからすべての魔を払い去ることを意味していたと思われます。したがって、猿の霊を祭ることにって村の不幸を除こうとしたものと考えられます。
また、王座という地名は、王座五郎左衛門の姓に由来すると伝えられていますが、ここに山王様が座しているということから山王が座す。すなわち王座という名がついたとする説もあるようです。