公開日 2019年2月6日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 中臼杵・南津留地域
- 名称
- 棒術(ぼうじゅつ)
- 所在
- 臼杵市吉小野
- 備考
- 昭和60年10月調べ
- 説明
- 静まりかえった神社の境内に一瞬緊迫した気配がみなぎり、次の瞬間その静けさを破って響き渡る「エイッ」「ヤァー」という裂帛の気合、そして、凄まじい勢いで互いに打ち合う棒の音。術者同士の気迫のこもった打ち合いは、思わず見るものを興奮させます。まるで自分自身が、前代の古武術の世界に足を踏み込み、一人の術者にでもなったような錯覚にとらわれます。
中臼杵の鳥越神社の春祭り(毎年四月第一日曜日)にこの棒術が奉納されます。棒術は、新要流棒術といわれるもので、民衆の護身術として発展したものです。同じ護身術として発展してきたものに東神野地区の鞍馬流棒術がありますが、今日その様相は異なります。新要流棒術には、民衆の護身術としての飾り気のなさと素朴さとが感じられます。
この棒術の由来については、定かではありませんが、古老の話や吉小野扇平に建てられている石碑(新要流師 飛高政蔵高定君寿碑=明治二十四年九月之建)によれば、幕末から明治にかけて吉小野地区に飛高政蔵という棒術の達人が住んでいて、近隣の人々に熱心に棒術を教えていました。その成果を当時鳥越神社で開かれていた小学校の運動会で披露していたという事です。
その後、小学校が現在の中臼杵小学校の位置に移ってからは、神社の祭礼に奉納されるようになったものです。
中臼杵地区では、棒術の保存会が結成されており、年に数回披露されています。この棒術は、無形民俗文化財として継承されるだけではなく、地域の連帯と高齢者と若者のふれあいの場、あるいは青少年の健全な育成の手段としても活用されています。