公開日 2019年2月6日
更新日 2019年2月28日
- 地域
- 下南地域
- 名称
- アオ杉と玉津姫伝説(あおすぎとたまつひめでんせつ)
- 所在
- 臼杵市深田
- 備考
- 昭和60年2月調べ
- 説明
- 杉は、木目の美しさや木の肌のやわらかさがかもし出す落ち着いた感じから建築部材、特に柱や長押などに利用されることが多く、成長の速さや需要との関係から市内はもとより全国的に見ても盛んに植林されています。またその一方では、屋久島の縄文杉に見られるような歴史的或いは伝説にまつわるような巨木も存在しています。
市内深田地区には、縄文杉とまではいきませんが、推定樹齢五百~六百年と言われている非常に枝ぶりの良いアオ杉の巨木が一本あります。推定樹高22m、樹木の周囲が5.2mのお大きなもので、市指定天然記念物の指定を受けています。この杉は、大きいばかりでなく真名野長者の夫人となった玉津姫にまつわる伝説もあります。それを要約すると次のようになります。
「その昔、奈良の三輪大明神のお告げによって、豊後の国に住む炭焼小五郎(後、真名野長者となる)の妻になるべく下向した姫が、かんざしとして髪に刺してきた杉の小枝をこの地に刺したものが付いてこの様に大きな杉になったものである」と言う話です。その真偽のほどはわかりませんが、髪飾りとしてつけてきた杉を刺したら付いたということは、この杉の生命力の強さを言いあらわしたものではないでしょうか。
昭和51年、このアオ杉の西20数mに位置する満月寺境内の発掘調査が行われ、鎌倉期(13世紀)から室町期(16世紀)にかけての寺院の建物跡の一部が発見されました。杉の樹齢から見ると、これは発見された建物跡のほぼ変遷の時期と一致します。高くそびえるこのアオ杉を見ていると伝説とは別な、何か歴史的な夢が果てしなく広がってゆく思いがします。